マインドフルネスとは?認知行動療法との関係性も解説

COLUMN

ストレス社会と呼ばれる現代では、マインドフルネスの思考が大きな注目を集めています。マインドフルネスは東洋文化をルーツとする、心と身体のバランスを保つための思考法です。今回はマインドフルネスの基本的な考え方と、認知行動療法との関係性を解説します。

マインドフルネスとは出来事をありのまま受け入れる心の状態

マインドフルネスとは今その瞬間に自分が体験している出来事を、意図的にありのまま受け入れる心の持ちようのことです。
そのルーツは、瞑想やヨガといった心と身体を結びつける東洋の文化にあります。後悔や不安といったネガティブな気持ちに囚われずに、「心を今に向ける」ことがマインドフルネスの思考です。

日常生活の多くは「心ここにあらず」で過ごしている

私たち人間は日常生活の行動の多くを無意識に行っています。特定の状況を除き、「呼吸をしよう」と考えながら呼吸をする人はいません。無意識に身体を動かしながら頭では全く別のことを考えている「心ここにあらず」の状態で1日の大半を過ごしているのです。

また、過去の後悔や将来の不安といったネガティブな気持ちに囚われてしまっているのも「心ここにあらず」の状態。一度不安を感じると長期間その状態が持続してしまいます。何をしていてもネガティブな考えが頭から離れず、それにより強いストレスを感じてしまうことは誰にでも経験があるでしょう。

さらにネガティブな気持ちが強くなると、食事をしていてもお風呂に入っていても、何をしていてもそのことしか考えられない状態に陥ってしまうことがあります。これでは本当の意味で「今を生きている」とは言えません。この状態を放置するとうつ病などの精神疾患を引き起こす恐れもあります。

マインドフルネスのポイントは「今、ここに生きる自分」を認識すること

マインドフルネスは、今その瞬間の自分の体験に意図的な注意を払うことで「今、ここに生きる自分」を認識する思考法です。「ご飯を食べる」「お風呂に入る」など、自分が今その場で体験している出来事を意図的に意識し、心が「今」に向いた状態にすることがマインドフルネスの本質です。

今の自分を意識しながら生活をしていると、今まで感じなかった新たな気付きが得られることがあります。多くの場合、それは音や匂いなど五感的な気づきであったり、ちょっとしたアイデアであったり、日常的でシンプルなものかもしれません。しかし、小さな気付きの積み重ねが今を生きる自分をより豊かにしてくれるのです。

マインドフルネスによって心を今に向けられるようになると、ネガティブな気持ちから生じるストレスや不快感、うつ症状などと適度な距離感で付き合えるようになります。また、新たな困難に遭遇した際もそれを受け入れて対処する力が身に付きます。マインドフルネスは、良いことも悪いこともありのままを受け入れ、今を上手に生きるための思考法なのです。

マインドフルネスはエクササイズとしても人気

マインドフルネスという言葉は「マインドフルネスをもたらすエクササイズ」を指す場合もあります。
マインドフルネスは東洋における瞑想やヨガがルーツであり、エクササイズのメニューとしても人気。ヨガ教室や一般的のスポーツジムでも「マインドフルネス瞑想」や「マインドフルネスヨガ」を気軽に体験できます。

また、近年では社員教育の一環としてとしてマインドフルネス研修を取り入れる企業も少なくありません。マインドフルネスはストレスを軽減するだけでなく、脳を活性化して仕事のパフォーマンスを上げる効果が期待できます。

マインドフルネスと認知行動療法の関係

欧米では1980年代からマインドフルネスを医療に応用する動きがみられ、その結果「マインドフルネスストレス低減法」や「マインドフルネス認知療法」といった医学療法が確立されました。マインドフルネス認知療法は認知行動療法の代表的な手段の一つです。

認知行動療法は人間の認知に働きかける治療方法

認知行動療法とは、人間の認知に働きかけてストレスを軽減させようという心理療法です。認知とは物事のとらえ方や考え方を指します。

通常、人間は自身が体験する出来事をその場で適応的に判断し、行動を決定します。

しかし、強いストレスやうつ症状が表れると、目の前の出来事に対して適切な判断や行動ができなくなってしまうのです。認知行動療法では、カウンセリングなどを通じて、行動や気持ちをコントロールできる状態に導いていきます。

マインドフルネス認知療法とはうつ病の再発予防プログラム

マインドフルネス認知療法は認知行動療法の一種であり、マインドフルネスの考え方を応用したうつ病の再発予防プログラムとして確立されました。主な効果としてはポジティブな感情の増大、ネガティブな感情の減少、人生のゴールの明確化、不安や恐怖の適応的な調整等が挙げられます。

なお、マインドフルネス認知療法は当初こそうつ病再発予防プログラムとして運用されていましたが、現在ではさまざまな領域での効果が実証され、その適用範囲は拡大しています。

マインドフルネスで心の不安やストレスを解消しよう

マインドフルネスは今その瞬間の自分をありのまま受け入れ、心を「今」に向ける思考方法です。心理的ストレスとなる後悔や不安といったネガティブな感情と適度な距離を取り、心と身体のバランスを修正する効果があります。日々の生活の中で強いストレスを感じている方は、マインドフルネスを活用したカウンセリングやエクササイズを試してみましょう。

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