過干渉とは?親の特徴や子どもへの影響・対策など分かりやすく解説
COLUMN過干渉とは、主に親が子どもの行動や人生に対して過度に干渉することを意味します。子どもを持つ人は過干渉の意味や子どもに与える影響を理解していない場合、無意識に子どもの視野や将来性を狭めてしまっているかもしれません。
この記事では、過干渉の傾向がある親の特徴や干渉することで子どもにどのような影響を及ぼすのかなど、過干渉について詳しく解説します。過干渉にならないための対策にも触れているので合わせて参考にしてください。
過干渉な親に見られる特徴
過干渉とは、親が子どもを自分の一部のように考えて子どもの意思や思考などを尊重せずに全てをコントロールしようとすることです。内閣府では、「少子化が進むにつれて過干渉の親が増加傾向にある」と発表しています。(※)ここでは、過干渉な親の特徴を解説します。
忙しくて育児の時間がとれない
子どもとの時間がとれないほど親が忙しい場合、過干渉をしていると気付かずに子どもの意思や行動を制限してしまうケースがみられます。特に共働きの場合、親のスケジュールが主体になることが多いため、子どもに何かを経験させたり決めさせたりする時間を確保しにくくなってしまうようです。
子どもが行動するよりも親が用意してしまったほうが物事がスムーズに進むため、手を出してしまうこともあります。このように、親が物事を効率的に進めようと考えてとった行動が子どもへの過干渉につながってしまうケースも少なくありません。
完璧主義な傾向がある
失敗を許せない完璧主義の傾向があることも過干渉な親に見られる特徴の一つです。過去の経験を基に子どもが失敗しそうだと分かる状況が訪れたときに、失敗しないように親が手を回してしまうため、子どもは失敗から学ぶことができません。これを心理学では示唆的要求といいます。
「完璧な大人になってほしい」「完璧な人生を歩んでほしい」といった親の過剰な期待が子どもの人生に介入する結果を及ぼしてしまうのでしょう。心理学では、子どもの人生に介入する親の行動を、詮索・精神面での束縛と定義しています。
子どもを自分と重ね合わせてしまう
子どもを自分の分身のように考える傾向があるのも過干渉の親に見られる特徴の一つです。自分の血を分けた子どもが親と似た性格であったり同じような失敗をしていたりすると、親は子どもを自分と重ね合わせて見るようになることがあります。
果たせなかった夢や自分が大切にしている価値観があると、子どもの意思や思考を無視して押し付けてしまう親も少なくありません。特に、母親なら娘に、父親なら息子にというように同性の子どもと自分を重ね合わせる傾向が多いようです。
子どもを褒めるのが苦手
子どもに対して過干渉している親は、子どもの長所に気が付いたり頑張ったことを褒めたりするのが苦手という特徴があることも少なくありません。例えば、子どもの良い面を認めたり努力を褒めたりせず、子どもの悪い面や失敗をとり上げて指摘してしまうといったケースです。子どもの話をよく聞かず、優れた成績や社会的な成功でなければ認めることができないといったケースもあるようです。
親の過干渉が子どもに与える影響
親が子どもの人生に介入すると、どのような影響を与えるのか気になる人も多いでしょう。ここでは、親の過干渉が子どもに及ぼす影響について解説します。
自立できない
親がどのようなことにも介入してしまう場合、子どもが自分で何も決められない大人になる可能性があります。子どもの思考を決めつけてしまったり、子どもが選択や決断をする前に親が介入してしまうため、思考する能力や判断力が身につかなくなるのです。
学生の間は親の保護下にあるため自分で決断できなくても困ることは少ないでしょう。しかし、自立できないまま社会人になってしまうと、決断を迫られたときや困ることがあるたびに親を頼る大人になってしまうかもしれません。
自立した大人になってもらうためには、提案した選択肢から選ばせたり子どもが決めたことを尊重したりして、自分で決断させる機会を意図的に用意することが大切です。
自信が持てない
親が子どもに対して過干渉の場合、子どもは自分に自信を持てなくなることがあります。過干渉の親のなかには子どもの意見や行動を否定するケースがあり、親から否定され続けた子どもは自分が考えることはもちろん、行動の全てに対し「間違っているかもしれない」と思い込み、自分に自信を持てなくなってしまうことがあるからです。
自分に自信が持てないまま成長してしまうと、どのようなときにも自分を肯定できる自己肯定感や、自分はかけがえのない存在と思える自尊心が低い大人になってしまうでしょう。
また、自己肯定感や自尊心が低い子どもは自分を低く評価してしまうため、他人から褒められても素直に受け止められないことが少なくありません。子どもの自尊心を高めて自信を持たせるなら、理由もなく否定することは避けることが大切です。
物事に挑戦できない
親が子どもの行動を決めてしまうと、子どもが自ら挑戦することを恐れてしまう可能性があります。未経験のことに挑戦できないことで、さまざまなチャンスをつかめなくなるかもしれません。
例えば今後の進路や就職先を決めたり、結婚を決断したりするなど人生における大切な場面でもリスクを恐れてタイミングを逃してしまうことが考えられます。物事に挑戦できる子どもに育てるためには、子どもがやりたいことや興味を持ったことにチャレンジさせ、親はそばで温かく見守ってあげる程度にすることが望ましいでしょう。
過干渉にならないための対策とは?
親が子どもに対して過干渉にならないようにするには、どのようなことに気を付ければよいかを解説します。次に挙げる対策を参考にして過干渉になるのを未然に防ぎ、子どもの自立を促しましょう。
子どもの意思を尊重する
子どもに対する過干渉を避けるためには、子どもの話に耳を傾けて聞いてあげることが大切です。過干渉な親は子どもを自分と重ねて見てしまい、自分の夢や価値観を子どもに押し付ける傾向があるため無意識に子どもの思考や行動に制限をかけてしまいがちです。しかし、子どもは親の分身ではありません。親は子どもが自分と別の人格を持つ一人の人間であると認め、子どものやりたいことや意見を尊重してあげましょう。
失敗しても見守る
子どもの成長を願うなら、親は子どもが失敗すると分かっていても手を出さずに見守る必要があります。「子どもが失敗して傷付くことがないように」と親心で手を回して失敗しないようにするのは子どもの成長のためになりません。
失敗によって学べることが多いと認め、自身の完璧主義を手放すと良いでしょう。また、子どものやる気を伸ばしたい場合は良い成績や結果を評価するのではなく、努力や目標に向かって取り組む姿勢を褒めてあげましょう。
自分の時間を大切にする
趣味や楽しみに没頭できる自分の時間を作ることは、子どもに対する過干渉の予防につながります。自分でも過干渉にならないように注意していても、時間があると子どもに意識が向いてしまうという人も多いでしょう。
趣味や楽しみを見つけて何かに打ち込む時間を設け、物理的に子どもと一定の距離をとることができれば、趣味や楽しみに没頭している時間は子どもへの干渉を防げるかもしれません。子どもへの過干渉から距離を置いてみるためにも、趣味や楽しみを探してみましょう。
まとめ
親の過干渉によって子どもの自立や自尊心に大きな影響を及ぼすことがあります。過干渉を防ぐには、子どもを親と切り離した一人の人間であると意識して接していくことが大切です。自分で注意しても過干渉になりがちになってしまう場合は、心理学の専門家に相談することをおすすめします。
テラピは、心理学の専門家からカウンセリングを受けられるサービスです。カウンセリングでは過干渉への対処法や具体的なアドバイスが相談できます。子育てに関するお悩みがある方はぜひご利用ください。