認知行動療法もデメリットは存在。メリット、デメリットを正しく理解し治療にのぞもう

COLUMN

認知行動療法は、患者が抱えている不安や恐怖に対して、認知や行動で働きかけることで心のバランスを整える治療法です。

認知行動療法は実践的な治療方法で副作用がほとんどなく、再発予防効果も高いなどの特徴があります。
しかし、精神的・体力的な状態が悪いときは治療が受けられない、治療期間が長く、効果を感じるまでに時間がかかるなどのデメリットもあります。

本記事では、認知行動療法のメリット・デメリットを解説します。

認知行動療法で得られる4つのメリット

認知行動療法のメリットとしては、次の4つです。

1. 実践的な治療法

認知行動療法の大きな特徴は、抱えている問題を話し合うだけでなく、その解決方法を明確にし、日常生活の中で実践していくところです。
カウンセリング後に問題解決のための課題や宿題を提示され、家庭や仕事場などで実際に体験することを繰り返し、変えやすいところから少しずつ時間をかけて変えていきます。

治療は段階的に行われ、患者は徐々に変化していく自分を実感できるため、治療へのモチベーションが高まり希望を持つことができます。

2. 副作用の心配がほぼない

治療や療法による副作用というと薬物によるものというイメージがありますが、実際はそれだけではありません。
心理療法の中にも、病気や障害によって相性の良し悪しがあり、場合によっては症状が悪化することもあります。
例えば統合失調症の患者に精神分析心理療法を行うと、統合失調症の代表的な症状である被害妄想が悪化するため、用いることができません。

認知行動療法は比較的状態が落ち着いた患者であれば、副作用や症状の悪化の心配がほとんどありません。
うつ病やパニック障害、社交不安障害、全般性不安障害、強迫性障害、摂食障害、成人のADHD、不眠症など、さまざまな病気や障害に適用できる治療法です。

3. 薬物療法と同じような効果がある

認知行動療法は患者のこころの問題を解決するために、認知や行動に働きかける治療法です。
治療者である医師やカウンセラーの技量にも左右されますが、治療方法の構造化が容易で、治療を進めやすいという大きなメリットがあります。

薬物療法と比較しても、同等の治療効果があると評価されています。
またうつ病や強迫性障害などの場合、抗うつ剤の薬物療法のあとで認知行動療法を行うなど、2つの療法を併用することで、さらに治療の効果を高めることが可能です。

4. 効果の持続期間が長く再発予防効果が高い

認知行療法にはさまざまなメリットがありますが、優れている点として、効果の持続期間が長く再発予防効果が高いところが挙げられます。

認知行動療法は患者を悩ませる症状の原因となる認知や行動を把握し、その問題点を少しずつ修正していきます。

治療後は柔軟な考え方が身につき、日常生活で感じるストレスを和らげることが可能です。
認知のバランスが整いストレス耐性を高められれば、再発予防につながります。

認知行動療法の3つのデメリット

多くのメリットがある認知行動療法ですが、いくつかのデメリットも存在します。

1. 状態が悪いときは治療を受けられない

認知行動療法は、患者が不安や恐怖に思っている問題点と向き合うことが必要な治療方法です。

患者の状態が悪いと、認知が歪んでいたり思考力が低下していたりする可能性があります。
また疲れやすく、精神的に不安定になっていることも多いため、心身の負担を考慮しても、治療を受けることができません。

2. 治療の効果を得るまでに時間がかかる

認知行動療法は、治療者である医師やカウンセラーと相談しながら、段階的に自分の認知や行動パターンを修正する治療です。治療は1回30分以上の面談を16〜20回行います。[注1]

服薬からすぐに効果が現れる薬物療法に比べ、効果を実感できるまでには16週間程度かかります。[注2]
そのため、即効性を求める方には不向きな治療といえるでしょう。

[注1] 厚生労働省.「うつ病の認知療法・認知行動療法 (患者さんのための資料)」p7(参照 2022-08-18)
[注2]厚生労働省.「うつ病の認知療法・認知行動療法(治療者用マニュアル)」p3(参照 2022-08-26)

3. 自費診療になることが多く金がかかる

うつ病、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、神経性過食症の認知行動療法について、2010年より保険適用が認められました。[注3]
2016年には条件が緩和され、次のステップでも保険が適用されるようになりました。[注4]

・初回と治療終了予定時の面談は専任の医師が実施、専任の看護師が同席すること
・専任の医師が治療計画を作成し、専任の看護師に指示すること
・30分以上の面談を専任の看護師が行ったあと、専任の医師が5分以上面談すること
・一連の治療は16回を限度とすること

しかし、認知行動療法において保険が適用される医療機関はまだ少なく、多くの場合は自費診療になってしまいます。[注5]
自費診療の場合、1回の診療にかかる金額が数千円ほどかかることが多いでしょう。そのため何回も治療を受けるとなると、多くのお金がかかります。

[注3]厚生労働省.「平成22年度診療報酬改定の概要」(参照 2022-08-26)
[注4]厚生労働省.「「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する 法律第 83 条第2項の規定による医療に要する費用の額の算定方法の施行 に伴う実施上の留意事項について」(参照 2022-08-26)[注5]厚生労働省.「認知療法・認知行動療法の届出医療機関について」(参照 2022-08-26)

認知行動療法は高い効果が得られる反面デメリットもある

認知行動療法は薬物療法と同等の効果が得られると評価の高い治療方法ですが、患者が問題点に向き合い、時間をかけて少しずつ認知や行動パターンを修正していくため、状態が悪い方は治療を受けられません。
また、効果を実感するのにある程度の時間がかかる点も、即効性を求める方にとってはデメリットに感じる場合があります。

認知行動療法のメリット・デメリットをあらかじめ把握し、自分にとって適切な治療かどうか考えてから医師に相談しましょう。

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