認知行動療法で読むべきおすすめの定番本を5冊紹介

COLUMN

認知行動療法は、うつ病や不安障害、ネガティブな思考に陥ってしまう方などに有効な治療方法といわれています。認知行動療法は医師や心理士のもとで行うのが一般的です。また、自身で学びながら取り組める方法もあります。

そこで今回は、これから認知行動療法を行う方、あるいは認知行動療法について興味がある方、自分で認知行動療法を試してみたいという方におすすめの定番本をご紹介します。

認知行動療法とは認知に働きかけ気持ちを楽にする治療法

認知行動療法とは、現実の受け止め方やものの見方のことを意味する「認知」に働きかけを行うことで、気持ちを楽にしてストレスを軽減する治療法のことです。認知行動療法では、大きく動揺したり気持ちがつらく感じたりする時に頭に浮かぶ考えに注目し、その考えと現実の間にどの程度の食い違いがあるかを検証し、思考の偏りをなくしていきます。

認知行動療法は一般的に医師や心理士などの専門家のもとで1回30分~1時間程度の面談を5~20回前後、3ヵ月ほどかけて行うことが多いですが、面談だけではなく自身が「ホームワーク」として日常生活で実践していくことも大切です。なお、認知行動療法はうつ病や不安障害、強迫性障害、不眠症などの精神疾患に幅広く効果があることが実証されています。

認知行動療法で読むべきおすすめの定番本5冊

認知行動療法に関する書籍にはさまざまなものがありますが、認知行動療法をこれから学ぼうという方にとって、専門書を読み進めることは容易ではありません。そのため、認知行動療法についてよく理解できないまま読むのをやめてしまうことがないよう、読みやすいものから選ぶことをおすすめします。

また、認知行動療法に関する書籍は大きく、認知行動療法そのものについて書かれたものと、書き込み部分などのあるワークブックタイプのものに分けることができます。以下ではいずれのタイプの書籍もご紹介しますので、ぜひ気になったものを手にとってみてください。

ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1

著者 伊藤絵美
出版社 株式会社医学書院
ページ数 184ページ
発売日 2011年2月
定価 2,200円(税込)
ISBN 978-4-260-01245-4

タイトルに「ケアする人」とあるように、本書は人のケアに関わる従事者が認知行動療法をより実践しやすくなることをコンセプトに書かれています。しかし、読者自身が認知行動療法を使いこなせるようにとの想いも込められているため、初心者の方でも読みやすい内容です。

前半では認知行動療法の概念やストレスに気付くための方法、後半では事例を交えて具体的な技法を解説していくような流れになっています。同時発売されている「ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK2」とセットで読むことでより認知行動療法への理解が深まるでしょう。

マンガでやさしくわかる認知行動療法

著者 玉井仁/星井博文/深森あき(作画)
出版社 株式会社日本能率協会マネジメントセンター
ページ数 240ページ
発売日 2016年4月
定価 1,650円(税込)
ISBN 978-4-8207-1946-5

認知行動療法の本は難しいものも多いですが、本書はマンガと文章による構成となっており、気軽に認知行動療法に関する基本的かつ専門的な知識を得ることができます。文字だけの本を読み進めることが苦手な方におすすめです。「状況確認シート」「思考記録表」「問題解決シート」など、実践に用いることのできるツールもあり、ノートと組み合わせて使うことでより本書を有効活用できるでしょう。

こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳

著者 大野裕
出版社 株式会社創元社
ページ数 132ページ
発売日 2003年3月
定価 1,320円(税込)
ISBN 978-4-422-11283-1

認知行動療法のセルフワークブックの定番ともいえる本書は、文章だけではなく実際に書き込むことができるようになっています。比較的薄い本ですが、図表やイラストなどが多用されており、認知行動療法のオーソドックスな技法をこの一冊でわかりやすく学ぶことができます。認知行動療法をこれから学ぼうとする方はもちろん、すでに認知行動療法を受けたことがある方にもおすすめです。

セルフケアの道具箱――ストレスと上手につきあう100のワーク

著者 伊藤絵美/細川貂々(イラスト)
出版社 株式会社晶文社
ページ数 304ページ
発売日 2020年7月
定価 1,760円(税込)
ISBN 978-4-7949-7181-4

本書ではセルフケアのための100個のワークが各1~2ページ程度で紹介されており、コーピングをはじめスキーマ療法やマインドフルネスなど、さまざまな認知行動療法を実践することができます。「認知行動療法を体系的に学ぶ」というわけではなく、「実践しながら学ぶ」というイメージの一冊です。気になったワークのみをピックアップして実践してみても良いでしょう。

心がスッと軽くなる 認知行動療法ノート 自分でできる27のプチレッスン

著者 福井至/貝谷久宜
出版社 ナツメ社
ページ数 304ページ
発売日 2015年4月
定価 1,320円(税込)
ISBN 978-4-8163-5794-7

本書は書き込み式のノートになっており認知行動療法を実践しながら読み進めることができます。イラストや寄り添うような文章も魅力です。1レッスン15分程度のものが多く、マインドフルネスやスキーマ療法、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)などを幅広く実践できます。手軽に認知行動療法を試してみたい方におすすめです。

認知行動療法を行うべき?迷ったら専門家へ相談を

認知行動療法は比較的短期間で高い効果が得られることから、人気の高い治療方法です。また、特定の疾患については健康保険が適用となる場合があるほか、今回ご紹介したような関連本に従って自分で行うことも可能です。

しかし、強烈なトラウマ体験を持つ方や理論的に考えることが苦手な方にとっては認知行動療法の効果が出にくいこともあります。認知行動療法に興味のある方は、自身の判断だけではなく、医師や心理士などの専門家に相談してみることもおすすめします。
※本記事は2022年9月時点の情報です

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