子どもへの認知行動療法アプローチ方法。親ができる対処のポイントを解説
COLUMN認知行動療法とは、うつ病や不安症などの精神疾患を持っている人に用いられる心理療法のことです。認知行動療法を子育てに応用すれば、望ましくない行動を起こす子どもを減らせるでしょう。
そこで本記事では、子どもへの認知行動療法のアプローチ方法を紹介します。親や学校ができる対処法についても解説しているので、併せて参考にしてみてください。
子どもに見られる心配な行動や考え方
子どもの中には、物事を極端に受け止めてしまう子がいます。例えば、以下のような行動を起こす子どもです。
● 一度失敗したら、二度と挑戦しない
● 自分は人よりも劣っていると強く思い込む
このような場合、悪気がなくても他者や自分を傷つけるケースがあります。
思考のクセが子どもに与える影響
また、思考のクセがあると子どもに悪影響を与えます。例えば、人一倍不安を感じたり、イライラや不安といったネガティブな感情に支配されたりすることもあるでしょう。そのため、思考のクセを正してあげて、望ましくない行動を減らすことが大切です。
認知行動療法とは?
認知行動療法とは、うつ病や不安症などの精神的な悩みを解決する際に用いられる心理療法のことです。認知行動療法の基本モデルは、「出来事(きっかけ)と4つの反応」です。ここでは、基本モデルを詳しく解説します。
出来事(きっかけ)と4つの反応
認知行動療法では、「出来事(きっかけ)と4つの反応」が基本モデルとされています。つまり、何らかの出来事に対して人は反応しているということです。人の反応には「認知・行動・気分・身体反応」の4つがあり、出来事に応じた変化が生じます。
例えば、「友達に挨拶をしたのに無視された」場合の4つの反応は以下のように考えられます。
● 認知:友達に無視されるようなことしたかな?
● 気分:不安や悲しみの感情
● 身体反応:涙が溢れてくる
● 行動:泣いているところを見られたくないため隠れる
このように4つの反応に当てはめて出来事の詳細を考えると、「何が起きているのか」がわかりやすくなります。中でも変化の生じやすい認知と行動に焦点を当てることで、変化の起きにくい気分や身体反応に少しずつ良い変化をもたらしていくのが認知行動療法の仕組みです。
親や学校ができる子どもへの対処方法
親や学校ができる子どもへの対処方法は、主に以下の4つです。
1. 出来事(きっかけ)を変える
2. 子どもの認知を見つめ直す
3. 行動しやすい環境を作る
4. たくさんほめて気分をあげる
それぞれの対処方法を詳しく見ていきましょう。
出来事(きっかけ)を変える
出来事(きっかけ)を変えれば、その後の反応に変化が生じます。
例えば、子どもと一緒に買い物へ行く途中、公園の前で「遊びたい」と駄々をこねたとします。駄々をこねた子どもは泣き叫び、公園で遊べるまで動こうとしません。すると、親は根負けしてしまい、公園で遊ぶことを許可せざるを得ないでしょう。
今回の事例では、公園の前を通ったことをきっかけに、子どもが遊びたいと駄々をこねています。つまり公園の前を通らずに買い物に行けば、結果は変わっていたと推測できるのです。出来事(きっかけ)を取り除けば、問題行動を起こしにくくなると考えられます。
子どもの認知を見つめ直す
子どもの認知を見つめ直すことも重要なポイントです。
例えば、子どもがご飯を食べてくれず、イライラしたとしましょう。この場合の認知は、「何度も注意しているのだから、いい加減ご飯を食べてほしい」が該当します。
しかし、認知を「いつもはしっかり食べてくれるので、たまにはいっか」と変えればイライラすることなく、子どもと向き合えるかもしれません。ネガティブな気持ちが生まれたときは、自分の内面を分析して前向きに考えましょう。
行動しやすい環境を作る
出来事や認知を変えるだけではく、子どもが行動しやすい環境を作ることも重要です。
例えば、テレビやゲームに夢中で宿題ができないのであれば、宿題が終わるまでテレビやゲームの使用を禁止しましょう。すると、勉強に取り組みやすい環境を作れます。
他にも、1人では問題が解けずにやる気を失くしているのであれば、親が側について宿題を見てあげることも大切です。環境を整えるだけで、子どもは行動に移してくれます。
たくさんほめて気分をあげる
子どもが行動に移せた場合は、たくさん褒めてあげることも必須です。
例えば、宿題ができたときに「頑張って良かった」と子どもが思えるように、たくさん褒めてあげましょう。褒めることで「いつも見ているよ」「応援しているよ」などのメッセージも届けられます。
望ましい行動をしたときに褒めてあげれば、必然と望ましくない行動は減っていくでしょう。
まとめ
認知行動療法とは、精神的な悩みを抱えている人に用いられる心理療法のことです。育児に応用すれば、前向きな気持ちで子育てができるでしょう。
親や学校が適切な対処方法を実施すれば、次第に子どもの望ましくない行動は減少します。きっかけを変えたり、行動しやすい環境を整えたりと子どもに合わせた対処法を実践してみてください。